牧師室より

「やぎさんゆうびん」という歌がある。詩人まど・みちお氏の詩に、作曲家の團伊玖磨氏が曲を付けたものだ。天声人語(2021610日)に、「五輪を開催するかしないか。国会でそう問われた菅義偉首相の迷走ぶりを見て先月、SNS上を飛び交ったのが『やぎさん答弁』という新語。何を聞かれても『国民の命と健康を守っていく』一辺倒で、質問の中身を聞かずに食べるかのような姿勢を、上西充子・法政大教授が『やぎさんゆうびんのよう』と評したのが始まりらしい」という記事が掲載された。五輪を強行する政権を、インパール作戦(計画段階から「無茶苦茶な作戦」だと中止を求める声があったが強行し、多くの日本兵を戦死させた作戦)に例える声がある。

歌は笑うことができるが、「インパール作戦」の再現は笑えない。「国民の命と健康」よりも大切なものがあるという現政権の意志を見るからだ。まだ「戦後」は終わっていない。人の命を守ることが、教会にとっての最優先事項だ。    (中沢譲)