牧師室より

オリンピックでは、国別にチームが登録される。団体競技は、国対国の対戦となるし、個人競技でも、勝利した選手がどの国の登録かは、重要視される。ゆえに表彰式では勝利者の栄誉を称える手続きとして国旗掲揚、国歌演奏がなされる。いつの間にか、競技の目的は国威発揚という勘違いが生じていると感じる。それは競技者からよりも、選手を派遣している国から漂ってくる雰囲気としてある。国別にメダル数を競う報道は控えようとか、国家とは切り離した個人・独立団体としての参加を限定的に認めるIOAという制度があるとか、このイベントと国家を切り離そうとする努力もあるが、あまり成功しているとは思えない。オリンピックを主催するIOCは、非政府組織(NGO)だ。一方の国には、憲法に基づき国民の生存権を守らねばならない責務があるはずだが、「開催国」の看板のほうが守られているように感じられてならない。 (中沢麻貴)