牧師室より

この四月、毎日曜日がイースター礼拝なので、復活をめぐる話題をひとつ。いつも散歩する舞岡公園には、歩道の上に枝を拡げたエノキの大木がある。真下にひとつベンチがあり、真夏など、良い具合の木陰で一休みしている人もよく見かけた。ところが一昨年夏の台風で、この木の幹が、中ほどからねじ切れるようにして折れてしまった。よほどの強風だったのだろう。その痛々しい姿は、見るも無残だった。木陰は失われ、残った枝の大半も危険防止のために伐採され、枯れてしまったのではと感じた。エノキは落葉樹なので、冬には本当に立ち枯れたような状態に見えた。ところが、昨年の初夏には、すこしの芽吹きから弱々しい枝が伸びてきた。さらに一年たった今年は、夏の木陰が復活しそうな樹勢になった。讃美歌566番の「風に折られしと 見えし若木の、おもわぬ木陰に 人をも宿さん」という歌詞がふと思い浮かぶ。このエノキは老木だが、死線を越えて鳥や人に再び憩いを与えてくれる。その木陰で、無残と希望に想いを巡らせたい。(中沢麻貴)