◇牧師室より◇
足踏み式リードオルガンでは、ペダルの踏み方でリード(笛)に送る風量が調整される。各リードの振動部分は金属で、高音なら薄く、低音なら厚いので、音の高さによって、いちばんよく鳴る風量が違う。両手で演奏して複数の音が同時に鳴っている時、送る風の量を微妙に変えることで、いちばん良く歌う(響く)パートが違ってくる。演奏中、背後から師匠に「もっとソプラノを歌わせて」とか「もっとテノールを響かせて」と言われたのを思い出す。いま、電子オルガンを弾きつつ、鍵盤上の指の運びはリードオルガンに準じているが、あの風量の微妙な調整にあたる技法が通用しないことが、歯がゆくて仕方ない。 (中沢麻貴)