牧師室より

 この外出自粛要請が始まったころ、他の教会はどうしているのか、知人友人の牧師の教会を中心に探ってみた結果、教会ごとに個性や地域事情に合わせて柔軟に工夫していることが感じられ、興味深かった。教会も応用力、適応力のようなものが発揮できることが大事だと痛感。聖書の四福音書が、それぞれ独自のスタイルを持つことも、福音書誕生の背景にある教会ごとの成立の歴史や置かれた時代と地域の状況の中で、そうした力が発揮された結果とも思った。

 ことに比較的小規模教会のありようが興味深い。小回りが利くと、アイディアを出し合って、いろいろできるのだな、という感じもした。

 礼拝に集まれない間、各自が自宅で礼拝をするので、それぞれ献金を入れる貯金箱を自作して、再び共に集って礼拝ができるようになった時に、貯金箱デザインコンテストをしましょう、という楽しいアイディアを編み出した教会。北国の酪農地帯にある教会では、決して財政的に余力があるとは言えないはずなのですが、もともと礼拝の動画配信システムがあるとのこと。それは、地吹雪になったら誰も教会には来られないという日常への対応だとか。それぞれ神様や教会に対する「好き」とか「大切」という素朴な思いが分かち合われて、工夫につながっているのだと感じる。本当は、聖礼典のようなものも、そうやって誕生したのではないのだろうかと、ファミリーデイのしおりに紐を通しつつ思う。

      (中沢麻貴)