◇牧師室より◇
復活のイエスは、何度も弟子たちの前に現れたと福音書は伝えています。ある時は、エマオの途上で、ある時は弟子たちのただ中に現れて、ご自身が亡霊ではないことを示されました。「亡霊には肉も骨もないが、あなたがたに見えるとおり、わたしにはそれがある」と(ルカ24:39)。
三度目にイエスが現れた時、イエスはパンと焼き魚を用意して弟子たちを食卓に招きました(ヨハネ21:12-14)。「さあ、来て、朝の食事をしなさい」と。そして三度目にイエスと出会った時、弟子たちは、「あなたはどなたですか」とは問わなかったとあります。なぜならば、その人が主であることは、疑いようのないことであったからです。復活の主は、繰り返し弟子たちに現れることで、インマヌエル(「神は我々と共におられる」マタイ1:23)の主であることを示されたのです。
アフガニスタンで命を落とされた中村哲氏が、『天、共に在り』(NHK出版2013)という本を生前に出版していました。タイトルの「天、共に在り」とは、「インマヌエル」の中村哲訳であることが文中に出てきます。キリスト者ではない人にも、彼の信仰と信念が伝わる訳だな、との感想を持ちました。中村哲氏もまた、弟子たちのように、インマヌエルの主に励まされ、アフガニスタンでの働きを自分に与えられた天職としたのでしょう。
私たちもまた、主の食卓に招かれた者たちの群れです。たとえ祈る場が異なっていても、主は傍らにおられるのです。 (中沢譲)