牧師室より

先月の 214日、会員のS.Yさんが天に召されました。84歳のご生涯でした。

S.Yさんは、1935年に生を受けました。1954年に日本赤十字看護大学に入学され、卒業後は企業看護師として働かれました。

Sさんにはお二人のお子さんがおられますが、ご幼少で学校に通っておられた頃、必ずお弁当を作られたそうです。愛情たっぷりの手作り弁当を毎日食べさせたかったのでしょう。ところがある日、ソースと間違えて黒蜜の小袋を入れてしまったという微笑ましいエピソードをご家族からお聞きしました。彼女の小学生時代は戦争中で、疎開の経験もあったと聞きます。育ち盛りの時期に食べられなかった苦労が、手作りのものを食べさせてあげたいという思いにつながったのでしょう。

Sさんの愛唱聖句は、イザヤ書41章と詩編23編です。詩編23編は、「主は羊飼い、わたしには何も欠けることがない」という有名な詩です。彼女が共感した言葉であり、同時に彼女自身の証しの言葉でもあると受け止めました。

Sさんが書かれた『若木』140号の文章には、「私達一人一人が、何らかの使命を持って、主に用いられていると信じて生きていたい」とありました。彼女の愛唱讃美歌516番の「こんなに小さな私たちさえも、みわざのため、用いられる」に響き合う言葉です。同じく愛唱歌496番には、「神よ、この世の旅路おわらば、わがふるさとに憩わせたまえ」とありました。神の器として用いられたことを感謝し、今は平安の中に置かれていることと思います。

地上にあって悲しみの中にある、ご遺族と友人の皆様の上に天よりの慰めがありますように。 (中沢譲)