◇牧師室より◇
今年もよろしくお願いします。
新年早々、インフルエンザで寝込んでしまい、皆様にはご迷惑をおかけしてしまいました。健康に留意した生活をと反省しているところです。
新しい年を迎えて、いろいろなニュースが飛び込んできました。カルロス・ゴーン氏の日本脱出劇、「津久井やまゆり園」殺傷事件の公判、トランプ米大統領による、イラン革命防衛隊司令官暗殺事件と、それに対するイラン側の報復というきな臭い報道と海上自衛隊中東派遣を中止できないでいる日本の政治の貧困…。いずれも、現在の日本を示す象徴的な話に見えます。
日本の教会は、過去の戦争を反省する時代から、すでに戦争前夜の時代状況の中に置かれていて、しかも、そのことにあまりにも無自覚であるように感じています。
昨年末、教会に映画のチラシが届きました。『名もなき生涯』(テレンス・マリック監督)という作品です。
第二次世界大戦中、ヒトラーへの忠誠を拒み、自分の信念と信仰に殉じた、実在したオーストリアのある農夫の話だそうです。市長も神父もその農夫への説得を試みたけれども、信念を変えなかったとのこと。チラシにはこのような宣伝文句がありました。「世界に再び争いの季節の足音が響き始めた今だからこそ、76歳を迎えた巨匠が作家生命をかけて人々に問う」作品だと。実は最近、このような宣伝文をよく見かけるように思います。つまり、たまたま偶然、先の戦争を掘り起こした作品が完成した、というのではなくて、今がまさに危機の時代であるからこそ、その警鐘としての作品が創られた、という点に注目したいのです。
「あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない」(出エジプト20:3)。この言葉を心に刻みつつ、新しい1年をスタートします。
(中沢譲)