牧師室より

アドベントに入りました。子どもたちにとってクリスマスと言えば、サンタクロース。子どもの教会の祝会にもやってきます。サンタクロースの起源はいくつかあるそうですが、その一つは東ローマ帝国のミラの司教ニコラオスが起源という説。現在のトルコの地域です。このニコラオス(ギリシャ語)伝承を、イギリスの児童文学作家エリナー・ファージョンが『セント・ニコラスの話』という物語にしている(「ニコラス」は英語)。以下簡単に紹介したい。

ニコラスは小アジアのパタラという町で生まれました。彼の家は裕福な家庭でしたが成長するにつれて、世間には貧富の格差があることを知ります。そこで彼は質素に生きることを人生のモットーにしました。

パタラの町には、財産を失い、親類や友人も寄りつかなくなった貴族が住んでいました。彼には三人の娘がいましたが、結婚させるための持参金もなく、それどころか日々の食事にも事欠く状態で、家族全員が餓死するか、それとも娘たちを奴隷として売るのか、父親は選択を迫られました。奴隷になれば、娘たちは何とか生き延びられると考えたのです。三人の娘たちにはそれぞれ好きな人がいましたが、父親にそのことを話せずにいました。

ついに明日は長女を売ろうと父親が決断した夜、部屋にお金が投げ込まれました。そこで父親はそれを持参金にして長女を嫁がせることができました。その後もお金は投げ込まれ、残された二人の娘も無事に嫁がせることができました。最後に投げ込まれた時に、お金を投げ込んだのがニコラスであることを父親は知ります。ニコラスは黙っていて欲しいと頼みましたが噂は広がってしまい、貧しい若者たちは、自分たちの家にもプレゼントが届くことを待ち望むようになりました。後にニコラスは聖人になり、セント・ニコラスと呼ばれ、サンタクロースの起源になったと、物語は結んでいます。

“待ち望む”という点で、アドベントとサンタクロースは結びついたのだと思います。私たちもワクワクと過ごしましょう。    (中沢譲)