牧師室より

久しぶりで同期会に出た。中高一貫キリスト教主義の女子校である。卒業して40年ほどになる。まだ仕事は現役かつ介護世代とあって、大方連絡はつくが欠席も多く、こぢんまりとした集まりだった。これまで、あまり同期会に出たことはなかった。昔話はあまり好きではなく、同期で気心の知れた親友たちとは、そこそこまめに会っているので、それほど気持ちが動かなかったのだ。けれども、さすがに40年経つと人はどう変化するのか(しないのか)興味もあり、ついでに教会と、教え子が最近始めた輸入雑貨店の宣伝もしようという下心もあって出席した。

各自が近況を順に語る。仕事や介護や思わぬ転身など、興味深く聞くことができた。中三から高一にかけて学級崩壊した思い出も。ひとりが、男性理科教師に黒板を拭けと命令され、反発したので黒板を拭き終わった黒板消しで、教師の頭をはたいたら、そのまま教室を出て行ってしまった思い出を話した。そんなことがけっこうあったあの頃。私も、自分の幾多の「悪行」を思い出す。黒板消し事件のあと、彼女は担任に呼び出された。そこからは、当時は知らなかった話を聞いた。担任は、こわもての体育教師。「ここへ座れ。メガネをはずせ。歯を食いしばれ」と言われたので、鉄拳が下されると覚悟したそうだ。それから三十分以上、こんこんと暴力はいけないと説かれた。こぶしは降らなかった、と。良い同期会だった。   (中沢麻貴)