◇牧師室より◇
「元号さよなら声明運動」に協力してください!というメールが届いた。送り主は稲正樹先生(元国際基督教大学教授)。平和聖日の講演会の講師としてお招きしたこともある憲法学者である。これまでもさまざまな発言をされてきたが、元号については私も危機感を抱いているので早速協力させていただいた。
現状の天皇制を「慈愛の天皇制」と呼んだ元学校教師がおられる。愛に満ちた形で、アキヒト氏は福祉施設を訪問し、日本軍の激戦地を慰霊し、また震災各地を訪問してきたからだろう。安倍政権との比較で言えば、私個人にもアキヒト氏の印象は良い。牧師以上に牧会的な存在であるとも正直思う。
天皇制に反対される人たちは、「日の丸」「君が代」「元号」を、天皇制を維持するための「三種の神器」と呼んできた。それらは天皇制を支えており、しかも反対すれば、天皇制反対の立場であることがバレてしまうという、恐ろしい制度だ。
そのため、声をあげて反対を唱えることは難しい。実際に声をあげた教員たちは、静かに処分されてきた。また右翼や公安警察の餌食にもなってきた。アキヒト氏を日本国憲法の守護神のように見る人がいるが、彼には五条、六条を逸脱する行為が目立った。生前退位発言は、その頂点であろう。憲法違反の行為によって、天皇制延命の地歩を確保したのだと私は分析している。
前回の即位礼・大嘗祭の時には、歌舞音曲禁止に抗して原宿路上で演奏を続けた若者たちがいた。また大嘗祭には「異なる米」と書く「糞」こそが相応しいと、皇居前に「糞」をばら撒いた若者たちもいた。
マスコミが一斉に横並び報道をはじめたら、それは社会の危機の時なのだと思う。 (中沢譲)