牧師室より

 聖書のお話を準備するとき、まずは聖書本文を、時間をかけて、ゆっくりじっくり読むことを大切にします。そのために、その礼拝や集会でとりあげる箇所の本文を、ノートに書き写します。最近は手書きよりワープロのほうが早いので、パソコン上でノートを作成します。新共同訳の本文、岩波書店の聖書の本文、そのほか二、三の日本語訳聖書などを一節ずつ平行して書き記し、そこに書き込みを加えたノートを作成します。その作業をしつつ、不明な言葉や調べる必要を感じたところをマークしていきます。そうした単語や事項を、辞書や辞典・事典の類、ヘブライ語やギリシャ語の原典、注解書、参考文献、加えてネット上での検索などを駆使して調べていきます。その作業で沢山必要になるのが、しおりです。最近は、指先の皮脂が加齢で減ったせいか、ページをめくる動作がさくさくと行かず、滅入ることもあります。でも、百均ショップの付箋を大量に使い、書籍のあちこちに、色やはさむ位置によって、内容や優先度がわかるように、しおりをはさんでいきます。しおりにもメモ書きする時には、プログラムや資料などを作成する際に出た「裁ち落とし」の細長い紙片を保存しておいて使っています。大判の重い本は、何度も開くのはくたびれるので、開いたままにしたくて、重しも兼ねたものをページ上に置くのですが、最適なものとして、私が活用しているのが、これも百均で買ったゴム製の動物玩具です。手のひらサイズのイトマキエイやクモやトカゲなどが、開いたページ上にぺたっと載って、部屋中に散在することになります。そうこうするうちに、お話しすべきことが、ようやく形をとりはじめるのでした。毎度この有様なのは、物覚えが悪いからなのです。(中沢麻貴)