◇牧師室より◇
クリスマスおめでとうございます。
受け売りの話題で恐縮ですが、フェイスブックを通じて牧師仲間の一人が教えてくれた話です。12月10日付けのニューヨーク・タイムズ紙が、オランダのあるプロテスタント教会が、6週間にわたってノンストップで礼拝を続けていると伝えているのです。礼拝ノンストップの世界記録に挑戦しているとかの、浮かれた話題ではありません。ハーグにあるベテル教会に、アルメニア難民である両親と3人の子どもが訪れたのですが、父親が政治的な理由で祖国から逃れたことをもって亡命申請しても却下され、一家は、国外退去を迫られていました。
オランダには、警察は礼拝中には教会に立ち入ることができない、という法律があるのだそうです。そこで、この教会では、ならば亡命が認められるまで、ずっと礼拝を続けましょう、と決めたというのです。最初は、協力牧師は少人数だったので、牧師一人で徹夜の説教をしたりして大変だったそうです。しかし今や、オランダ全土のプロテスタント教会の牧師がボランティアを名乗り出ているので、全員をシフトに組み入れるのに教会は苦労しているとか。国外退去命令を撤回するつもりはないと表明した右派政権と、礼拝をやめるつもりはない教会との根くらべが続いているようです。プロテスタントの牧師団体代表は、「私たちは、神と隣人を愛したいと考えている。そして今回の事態は明らかに、隣人への愛を実践する機会だと思う」と取材に答えて述べています。礼拝に協力した牧師も「自分たちが説いていることを実践するだけだ」と語っています。取材したニューヨーク・タイムズやCNNなど米国の報道機関は、移民に不寛容な傾向になりつつある母国との差異を感じたようです。
さて、私たちは誰とクリスマスの喜びを分かちあいましょうか。 (中沢麻貴)