牧師室より

春がやってきたと思ったら、初夏を思わせる暑い日もある昨今。イースターの喜びを、その全存在によって表現しているかのように、一斉に芽吹く季節になりました。ワクワクのシーズン到来なのです。そこでまず気になるのが牧師館屋上のガーデン。今年はどんなハーブを植えるのか気になるところです。そこで聖書に登場するハーブを紹介してみたくなりました。

最近、ものすごく人気があるのがコリアンダー(英語)。ヘブライ語で「ガッド」、ギリシャ語では「コリオン」と言います。私たちの日常では、パクチー(タイ語)とか香菜(シャンツァイ・中国語)という名で親しまれています。出エジプト記1631節に、このような記事があります。「イスラエルの家では、それをマナと名付けた。それは、コエンドロの種に似て白く、蜜の入ったウェファースのような味がした」と。ここで「コエンドロ」と訳されているのが、コリアンダーです。出エジプトの民の食生活を支えた「マナ」は、コリアンダーの種に似ている、というのが31節の記事です。コリアンダーは、パレスチナ地方に自生し、古い時代から愛されていたハーブのようです。葉も種も食用ですが、葉には強い芳香があって、スープに入れたり、プリン、カレー、ぶどう酒の匂いづけにも用いられてきました。私個人の好みとしては、刻んだ魚醤漬けの青とうがらしと一緒に、トムヤムクンラーメンの上に、刻んだコリアンダーの葉をたっぷり乗せて食べるか、同様に刻んだ葉を魚醤であえて、紹興酒で流し込むのが好みです。

コリアンダーと並んで親しまれているのが、同じセリ科のクミン(英語)。ヘブライ語で「カンモイン」もしくは「カンモン」、ギリシャ語で「キュミノン」と言います。古代ではエチオピア産が最上で、エジプト産はその次だとされていたと言います。イザヤ書2827節には、「いのんど(ディル・英語)は打穀機で打たず/クミンの上に打穀車を引き回すことはしない。いのんどは棒で打ち/クミンは杖で打つ」とあります。古代から、調味料として愛されてきた様子がわかります。クミンは、魚や肉、特にシチューの調味料、食欲増進剤や薬として用いられました。私たちに身近なところでは、カレーの香りづけに使われています。またマルタ島では、今日でもイザヤ書(2827節)に書かれている方法で脱穀しているとのこと。

各種ハーブのことを考えているだけで、幸せな気分になってきますが、気をつけなくてはならないのは、お腹も空いてくる点。また体重が増えてしまいそう。    (中沢譲)