◇牧師室より◇
パソコンやスマホを頻繁に使う世代では知られていることだが、画面上にワープロで記した文章の最後に、orzと記されていることがある。これは英単語ではなく、oが頭、rが地面に手をついた上半身、zがガックリと膝をついた下半身を表現しており、要するに失望や落胆、地面にうずくまるほどの絶望感を、左向きにうずくまる人の形に表現したものだ(例文:せっかく行ったのに、お店は臨時休業だったorz )。通常使う文字の組み合わせで顔や姿などを形として表現したものを、アスキーアート(略してAA)と呼ぶ。パソコンなどの普及に伴い、世界的にひろまってきた。よく見るのは、笑顔を意味する(^o^)などであろう。正式な語ではないので、公的な文書や目上の方への手紙では控えるのが礼儀だが、殺伐としがちな電子媒体上の言葉のやりとりに、感情表現や面白さを添える手段として、世代を問わず結構普及していると感じる。上記二例は日本発祥で、例えば同じ笑顔でも英語圏では :) と横倒しの簡略な形だ。
最近は文字を組み合わせて形を作らなくても、絵文字が簡単に画面に入力できるが、いずれにせよ文章では表現しがたい機微を伝える必要を人々が感じている表れだと思う。それを文章力の低下と嘆くこともできるが、そもそも文字は、起源をたどれば、何かの形や雰囲気を記号化しつつ発達した。電子媒体の普及により、かつてない大量の文書が高速でやり取りされる時代、それに伴ってAAが補完的に発達したのは、自然のなりゆきかもしれない。少なくとも、orz を生み出した若い感性に、私は敬意を表する。ところで、日本聖書協会が、聖書の新しい共同訳を準備中と聞く。しばしなりゆきを見守りたい。(→_→) (中沢麻貴)