牧師室より

年末を迎え、いろいろな団体が今年一年を振り返る時期になっている。たとえば、日本漢字能力検定協会が発表した、今年の世相をあらわす漢字は、「北」だそうだ。

私の友人が事務局長をしている日本ジャーナリスト会議(JCJ)では、2017JCJ賞を発表したが、その報告集が手元に先日届いた。「おかしい」と感じたことを徹底的に追及したジャーナリストたち(報道機関・個人)の5作品が受賞している。内容としては、森友学園への国有地売却と加計学園獣医学部新設をめぐる一連のスクープと報道(朝日新聞)、地方議会での政務活動費不正のスクープ(北日本新聞、チューリップテレビ)、沖縄県高江・辺野古の基地建設を問う一連の報道(沖縄タイムス)などである。

共通しているのは、隠されている権力の不正を暴いた点である。ジャーナリストなら当たり前のことだと思っている方もあるかもしれないが、ここのところマスコミは、権力に対して忖度だらけである。権力者に不都合な事実をできるだけ報道しないことが常態化しているのではないだろうか。そういう報道機関を“マスコミ”とは呼んでも、“ジャーナリズム”とは呼ばないことに、私はしている。それゆえに、現在の厳しい状況の中で、ジャーナリストとしての姿勢を貫いている人たちを正当に評価することは、とても大切なことだし、必要なことでもある。

話は変わるが、以前にも紹介した、お笑いコンビの「ウーマンラッシュアワー」が、THE MANZAIというTV番組で、北朝鮮問題、沖縄の米軍基地・安保問題、オリンピック問題、原発や被災地の問題などを取り上げたことで話題になっている。私も、某番組の「そもそも総研」(玉川徹氏)というコーナーで、彼らのネタをみる機会を得たが、感動した。内容も面白いが、何よりも彼らの勇気に励まされた。私以外にも勇気づけられた人たちが多くおられるのではないだろうか。そして、大切なことは、政治や社会風刺は、十分にお笑いのネタになることを彼らが証明してみせた、という点だ。

 私が学んだことは、おかしいことはおかしいと、置かれた場所で声を上げるということ。教会もまた、同じではないだろうか。  (中沢譲)