牧師室より

 今年も三階の屋上菜園は、毎日のようにハシブトガラスの訪問を受けている。カラスのなわばりは、比較的固定的なので、たぶん昨年と同じ親ガラスと今年生まれた子ガラスが来ているのだと思う。今や子ガラスは、親よりむしろ図体が大きくなっているのに、いまだに水浴び後の羽繕いを親にせがんでいたりする。親離れ子離れは、何処も難しいようだ。

菜園に獅子唐辛子やピーマンがなりはじめた頃、好奇心の強い子ガラスが、実をもぎ取って食べようとする被害が出た。食べられてしまえばまだあきらめがつくのだが、嘴でちぎったものの、まずかったのか、放り出してあった。次は、半分にちぎったピーマンが水入れの中に入れてあって、どうも苦味を洗おうとでもしたらしい。カラス来訪の主目的は、水飲みと水浴びなので、彼らへのサービス(?)として置いてあった水入れを一時撤去して、獅子唐やピーマンの苗が十分大きく育つまで、食害を防ぐことにした。

 その間に、鳥と昆虫の研究で知られる後藤三千代氏の『カラスと人の巣づくり協定』(築地書館)を読んだ。30年にわたる山形での研究から、カラスが電柱に営巣して電気トラブルを起こす被害の実態を解明し、画期的な対処を提案した次第が記されている。カラスが電柱に営巣するのはなぜかを調査分析するうちに、本来一つのなわばりには、一つしか営巣しないカラスが、巣を撤去されるたびに巣を作り直すので、撤去すればするほど巣が増えることになり、何度も巣作りしていると、本来それほど巣材としては好みでないハリガネなどの金属材も使わざるを得ず、金属材と電線の接触による電気トラブルが増えていたことが分かった。しかも、金属以外の巣材も、地域の特産品である柿の剪定枝や、枝豆の収穫後の枯茎など、人間が処理しきれないで畑に放置した農業廃材が、よく利用されていると判明した。

 解決策は、巣の撤去ではなく、むしろ電線に届かぬ位置に巣のための人工台をなわばりごとに一つ設置してやり、農業廃材を、肥料や飼料に再利用することだったのである。素晴らしい逆転の発想だ。(中沢麻貴)