牧師室より

赴任してすぐの頃、地元を探検する気持ちで、まず洋光台駅周辺をうろうろしました。港南台駅のほうが少し遠く感じ、また引っ越し前にも洋光台駅から教会まで数度歩いたので、教会至近のランドマークとして、まず洋光台駅を覚えたわけです。駅前の中央団地には、昭和の香りの、少しなつかしい雰囲気がありました。集合住宅の一階部分に、様々な店舗が並んでいる様に、「下駄ばきアパート」(二階以上が住居で、一階が商店や事務所など非住居という構造を下駄にたとえた表現)という言葉を思い出しました。イベントもできるような広場も含む店舗群が、「サンモール洋光台」という名の商店会を形成していることは、後から知りました。今も、時間が許せば「サンモール洋光台」や「ショップ27」をぶらぶらするのは、とても面白いです。

 さて、平和聖日の講演会への予習として、木村草太氏の『テレビが伝えない憲法の話』を読み始めて、びっくりしました。ごく初めのほうに「サンモール洋光台」が登場するのです(面白いエピソードが語られているのですが、ネタばれになるので書きません)。木村氏は、「憲法とは何ですか?」と聞かれた憲法学者の気持ちは、洋光台で生まれ育った人が「サンモール洋光台」について聞かれたのと同じで、話し出すと止まらないのだとおっしゃっています。

 洋光台に馴染みのない人に向かって、「サンモール洋光台」は、「ニュータウンにありがちな、駅前の普通の商店街です」と答えるしかないのと等しく、「憲法とは何ですか?」と問われたら、「憲法は、国家権力を縛るものです」と憲法学者は答えるしかないというところから説き起こされ、憲法について楽しく学べる本です。一読をお勧めします。(中沢麻貴)