牧師室より

先週、礼拝後の講演会でお話をうかがった二本松有機農業研究会の大内信一さんの著書『有機・無農薬栽培ガイド』は、私には楽しい本である。例えば、オクラを栽培し、夏が過ぎて収穫が終わった後は、高さ2mにもなる丈夫な茎が枯れ残るのだが、それを畑から除去せず、「下にサヤエンドウなどを播くと、支柱としても利用できる」とある。私は毎年、収穫後の硬く太いオクラの茎を、苦労して細断し堆肥に積んでいたのだが、これは目からウロコで、思わず「なんて、オシャレなんだ!」と興奮して叫んでしまう。むかし無農薬有機栽培について教えを受けた篤農の翁が「カネは使わないぶん、頭は使う」とおっしゃっていたのをふと思い出す。有機農業の持続可能性の英知と対極にあるのが、廃炉の道筋が見えない原子炉だ。 (中沢麻貴)