牧師室より

 先月末、台風10号が東北岩手、北海道に大きな被害をもたらしました。私にとっては、第二の故郷と感じている北海道十勝地方にも、大きな被害が出ているので、心が痛みます。日本基督教団の北海教区道東地区には7つの教会があります。「道東」とは、釧路市を含む根釧(こんせん)地方と、北見市を含む網走地方と、帯広市を含む十勝地方からなる地域です。十勝にある教会で、神学校時代の学友が牧師として働いているので、台風10号が通り過ぎて行ったころ、心配になってFacebookを通じて「大丈夫?」と尋ねてみました。もし被害があって、その対応に追われていたらかえって迷惑かとも思いつつも、心配が勝ってのことでした。すぐに返信があり、無事を確認したと同時に、広い地域で給水設備が破損し、断水中とのこと。教会は大丈夫だったらしく、みんなに教会でお風呂に入ってもらったり洗濯してもらったりしています、と知らせてくれました。教会が地域で役に立っていることを喜んでいる様子が頼もしく、一安心。

 けれども、その後報道されている被害状況をみると、農作物の被害は1万数千ヘクタールに及ぶようです。8月に3つも台風が北海道に上陸するなど、かつてないことです。十勝地方は、開拓農民によって広大な農地が生み出された地域です。入植から苦労を重ね、100年以上かけて作り上げてきた肥沃な農地の表土が、一瞬の濁流で流されてしまいました。農地回復には10年以上かかると伝えられているのを聞き言葉を失い、今後の苦労の大きさを思いました。

 水道や道路の復旧もまだ不十分な中、力を合わせて働いている方々のために祈りたいです。また、そうした地域の中で奮闘しているであろう教会に、心から応援を送ります。

         (中沢麻貴)