牧師室より

 今日の礼拝説教では、創世記にあるヤコブとエサウの兄弟をめぐる出来事について触れました。25章には、ヤコブが、空腹だった兄エサウに、自分が料理していた「レンズ豆の煮物」を与えるのと引き換えに、エサウから長子の特権を譲り受ける契約をした次第が語られています。

 ちょうど私が牧師になった十数年前ごろから、日本でもレンズ豆が乾物店やスーパーで容易に入手できるようになってきました。以来、レンズ豆の煮物風スープをよく自宅で作っています。虫眼鏡や望遠鏡の凸レンズは、形がこの豆に似ていることからレンズと呼ばれるようになりました。レンズ豆栽培の歴史は古く、西アジアでコムギやヒヨコ豆などと共に広く栽培されてきました。

我が家定番のレンズ豆料理は、タマネギを、クミンシードを加えたオリーブオイルで炒め、そこにチキンスープを加えて、あとはありあわせの野菜とレンズ豆を適当に加えて煮込み、塩コショウで味加減するという、実に大雑把なレシピです。

 クミンも、聖書に登場する(イザヤ282527)栽培の歴史が古いハーブです。ヤコブの時代、タマネギとオリーブオイルはあったとしても、キャベツもトマトもカボチャも、おそらくニンジンもまだ無かったと思われるので、ヤコブの鍋の中身は、レンズ豆以外に何が入っていたのか気になるところです。 (中沢麻貴)