牧師室より

6日礼拝後、東北教区被災者支援センター・エマオの報告会が開かれました。東日本大震災から4年半が経過しましたが、エマオでは仙台と石巻に拠点を置き、ボランティアを派遣して、仮設住宅での支援、農地再生のお手伝い、人同士のふれあいを通して心の活力をとりもどす支援など、地域の信頼を得つつ地道な活動を続けておられることがわかりました。よく準備されたスライドや資料を用いて報告をしてくださったのは、エマオ仙台で教区派遣の専従スタッフとして活動しておられる佐藤真史牧師です。短時間ながら中身の濃いお話でした。また、東北教区放射能問題支援対策室いずみの活動についても併せてお話しくださいました。エマオでは全国の教会や集会へスタッフを派遣し、報告会を行い、活動への理解と支援の輪を広げる取り組みをしています。どんな小さな集まりにも出かけていく姿勢には頭が下がり、草の根の活動のあり方を教えられる思いです。

 印象に残ったことを少し。震災当時、命からがら避難してきた方々が、みな表情を失い、紙のように白い顔色であったということ。地震が人の命や生活基盤を、暴力的に根こそぎ奪っていく様を目の当たりにする体験の過酷さ改めて思いました。報告会冒頭では、震災当時の映像が短く放映されましたが、忘れていた戦慄を思い出すと同時に、直接体験された方々の苦しみの深さを想像し、胸が痛みました。

 避難所でドラム缶を探し出して薪を燃やし、自力でお湯を沸かして冷たいおにぎりを温かい粥にして配った方、無農薬栽培の畑が津波で壊滅、流れ種から芽生えた雑草で覆われても、十年草をむしれば畑は再生すると語る方のお話などには、生きる力を教えられます。仮設住宅から復興住宅への転居の流れに取り残される方々が直面している問題や子どもたちの心のケアなど、まだまだ支援は必要です。祈りに覚え、支援していきたいものです。   (中沢麻貴)