牧師室より

 本日は憲法記念日ですので、憲法にちなんだ話をしたいと思います。

 日本国憲法は1946113日に公布され、半年後の194753日に施行されています。そのため、憲法記念日を施行日にするか、公布日にするか、国会では意見が分かれたようですが、最終的には53日に決着しました。ちなみに113日は、現在は「文化の日」となっていますが、戦前は明治節(旧天長節:明治天皇の誕生日)を祝う日であったため、GHQの内部などから、憲法の公布日にふさわしくないとの声もあったようです。

 今年は、日本の敗戦から70年ということで、安倍首相の発言に注目が集まっているところですが、改憲の動きが具体化して60年という年でもあります。1955年。それまで安保を巡る意見の違いから分裂していた右派社会党と左派社会党が、戦後10年にして、早くも改憲(「逆コース」)に向けた動きがはじまったことに危機感を感じて、社会党の再統一が起きた年であり、同時に、社会党の再統一に危機感を感じた財界の要請で、日本民主党と自由党が保守合同を実現し、自由民主党が誕生した年でもあります。その結果、自民民主党(自民党)が与党第1党、日本社会党が野党第1党という、二大政党の政治状況が生じました。この状況を両政党が誕生した年にちなんで、「55年体制」と呼ぶようになります。

 「国内冷戦」とも呼ばれた「55年体制」には、メリット、デメリットがあるように感じていますが、日本国憲法を守るという点においては、意味はあったと思います。

 その後、自民党も社会党も共に力を失い、1993年に自民党が下野して与党でなくなった時期を、「55年体制の崩壊」とするようですが、社会党が野党第1党ではなくなり、これを機に、あらたな改憲の危機がはじまったと言えます。

現在の安倍政権の登場により、改憲に向けた動きは、今まで以上に現実化しつつあります。改憲前に自衛隊の海外派兵を強行し、その「現状に合わせるため」に改憲を行うという可能性すら出てきました。 

本日は全国各地で、憲法に関する集会が予定されていることと思いますが、この70年間、憲法によって平和が維持されてきた意味をあらためて問う時になればと願っています。「平和を実現する人々は、幸いである」(マタイ5:9

(中沢譲)