牧師室より

〈聖書の中の女性たち〉その3

 旧新約聖書に登場する女性についての考察です。

サライ 神はサライ(サラ)とアブラム(アブラハム)に、旅に出るようにと命じられます。そこでサライは夫と共に、行き先も知らずに旅に出ました。彼らは約束の地とされたカナンに祭壇を築き、神に感謝する生活を送ります。その後、滞在している地に飢饉があり、サライたちはエジプトに逃れました。ところが彼女の美しさゆえに、自分が殺されるのではと身の危険を感じた夫は、サライに「妹」と称するように頼みます(サライは異母姉妹なので妹でもある)。夫が案じたとおり、エジプト王はサライを王宮に招き入れるのですが、そのために神は病を王と宮廷の者たちに与え、その原因のすべてを知らされた王は、ただちにサライたちに

国外退去を命じることになります。     

「約束の子」が与えられないため、サライは側女ハガルを夫アブラムに与えます。しかしハガルがイシュマエルを身籠もると、サライは心穏やかに過ごすことができなくなり、ハガルを迫害する事件を起こしました。

そんなある日、3人の旅人が訪れ、サラに息子が与えられることを告げます。しかしサラは「あり得ない」と心の中で笑ってしまうのです。しかし一年後に彼女は神の恵みを知ることになります。ところがやっとの思いで与えられた「約束の子」イサクを、夫が突然連れ出し、神に奉献しようとする事件も経験します。彼女にとって人生は驚きの連続であったに違いありません。夫同様に彼女にも欠点はありましたが、神と夫に愛されて、思い出の地に葬られます。

アンナ 預言者アンナは、アシェル族のファヌエルの娘であるとあります。初代教会において知られていた人であったのかもしれません。若い頃に夫を病で失い、悲しみと労苦を背負った彼女は、神様に人生を委ね、日々を神殿で過ごし、断食と祈りの生活をしていたと紹介されています。その彼女が84歳の齢を重ねた時に、幼子イエスとの出会いを与えられます。そしてイスラエルが待ち望んでいた救いに自分は出会ったと人々に伝えました。そのことによって彼女も、救い主誕生を伝えたひとりとされたのです。     (中沢譲)