◇牧師室より◇
「聖歌隊、背高い、姿勢硬い」。中高生のころ、友人たちと考えた早口言葉をクリスマスに思い出しました。キリスト教主義学校でしたから、冬休み前に全校生徒が出席するクリスマス礼拝がありました。チャペル内に、聖歌隊用に設置された背の高い特別席で、ガウンを着て緊張した顔で讃美歌を次々と歌っていた友人の顔を思い出します。礼拝後には全校生徒が、校舎の道路に面したすべての窓に、キャンドルを持って並び立ち、夕闇に沈む街に向けてキャロルを歌うのがしめくくりでした。
私の母教会にも前任教会にも聖歌隊はありませんでしたので、先月24日のイブ賛美礼拝で、久しぶりに聖歌隊によるクリスマスの歌声を聴くことができました。横浜港南台教会の聖歌隊の素晴らしいところは、皆さんの表情が、とても生き生きとしていることです。喜びを持って、ていねいに賛美しておられる様子が、闇の中で照らされ、浮かび上がっている、その姿をとても美しく感じました。前日に駅前で行われたキャロリングでも、立ち止まって涙を浮かべて耳を傾けておられた方があったと聞きました。主の降誕を告げる歌声には、特別な力があるのだと、改めて感じます。
カラオケでもなく、趣味のバンド活動でもなく、人前で心を込めて歌う機会は、日本社会には少ないように思います。教会の聖歌隊が、主の降誕の喜びを告げる時、そこには、自分自身の信仰で受け止めた喜びと共に、その福音を世の人々に伝える使命を果たしていることへの喜びもあるのだと思います。皆さんの歌っておられる表情が、何か解放された様子で素敵なのは、きっとそれが理由でしょう。私たちの聖歌隊の平均年齢は、少々高めです。歌声を響かせるために、たくさんの努力をされています。耳や目や喉の筋肉を保つのは大変です。でも、人生後半に、自分のためでなく、主の福音を人々と分かち合うために、朗々と歌う皆さんの姿は、きっと同世代の方々にも、もっと若い世代の人々にも、そういう喜びのある生き方のあることを、きっと伝えていると思いました。 (中沢麻貴)