牧師室より

今年最後の「牧師室より」になりました。振り返ってみますと、この1年は私たち両牧師にとって、忘れることのできない1年だったと思います。この1年の物語は、前任地に「南方からの三人の博士」たちが訪れたことからはじまりました。担任する教会が変わるのは初めてですので、面接試験を受けるような面持ちで、お三方とお話をする機会を与えられました。しかし「三人の博士」たちのとても温かい雰囲気によって、心を和ませていただいたことを今も覚えています。

 経験が浅く、実績らしい実績もない私たちでしたので、招聘される自信はありませんでしたが、私個人は、あとは神様が何とかしてくれるだろうと思い込むことにしていました。その結果、大きなクリスマスプレゼントを神様から与えられることになります。

 「神様が何とかしてくれる」と思い込むことにはしたのですが、自分のことを「敬虔な信仰者」と思い込むことには失敗していましたので、具体的に招聘の話が進み始めると、正直なところ慌てました。前任地の教会では、すでに総会で辞任が承認されていましたので、“路頭に迷う覚悟”を固めつつあったからです。そのため、新しい任地のために何を準備したらよいのか、まったく想像がつかずに慌てたのです。

 結局のところ、準備らしい準備を整えることもできず、希望と不安も一緒に箱詰めして、3月に横浜港南台教会へ引っ越して来ました。梱包された荷物を開けると、引っ越しと引き継ぎの忙しさで忘れていた希望と不安も出てきてしまい、あたふたとしたまま横浜港南台教会の担任教師としての生活がはじまり、この年末を迎えたように思います。

イエス様のところに訪れた「東方の博士」たちは、そのまま去ってしまい、その後の消息は知れません。横浜港南台教会からの「三人の博士」たちは、招聘委員会解散後も、(また役員という立場を越えて)頼りない牧師たちを支えてくださっており、イエス様以上の待遇を身に受けていると、本当にありがたく思っています。そしてまた、このような「三人の博士」を送り出してくださった神様と横浜港南台教会の皆さんに、あらためて感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。頼りない牧師たちですが、引き続きよろしくお願いします。          (中沢譲)