牧師室より

本日からアドベントに入りました。アドベントとは、ラテン語由来の言葉で、西方教会(カトリック・プロテスタント)では、「キリストの到来」という意味で用いています。教会暦の中では、最後に定められた暦の期間(期節)であり、受難節や復活節よりも新しい期節なのです。

 そのアドベントには、二つの意味が込められています。一つは、主イエスが世に与えられたことを喜び祝う時という意味で、私たちが親しんでいるものです。もう一つは、主イエスの再臨を待ち望む時という意味が込められています。教会ではこの二つのことを念頭に、アドベントの時を覚えてきたのですが、「イエスの再臨(終末)を待ち望む」という姿勢はあまり意識されず、どちらかと言うとイエスの誕生を祝う時としての意味合いが強いように思われます。

 教会暦は、アドベントからはじまっています。その意味では、教会共同体の一年のはじまりは、アドベントからとも言えるでしょう。ちなみに、暦の最後は、主イエスが王である(日本基督教団暦には「王の職務」とある)ということで終えられています。そのことは、イエスこそが私たちの救い主であり、王であるという告白と同時に、終末の時(再臨による「神の国」の完成)ということが、意識されているのだと思います。そして次の新しいアドベントの時、新しい一年へと引き継がれていくのです。

 ところで、クリスマスを「イエス生誕何周年」という形で私たちは祝いません。実際のイエスの誕生日が分からないということもありますが、救い主が与えられたことを記念するという意味合いが強いからだと思っています。また、長い信仰生活において、救いの確かさを味わいつつ、救いの完成の時を待ち望む生活を送るためには、アドベントの時ごとにリセットされ、新しくされて出発することが、信仰者の群れとしての教会にとって、必要なことなのだと思います。        (中沢譲)