牧師室より

私たちの教会では、天に召された方たちを覚えて、毎年11月の第1日曜日に、永眠者記念礼拝を行っています。

私共の日本基督教団の暦では、永眠者記念礼拝と同じ11月第1日曜日を「聖徒の日」と定めています。この日の元々の由来は、迫害によって殉教した人たちを記念したことにあるようです。カトリック教会では11月1日を、「諸聖人の祝日」と呼びます。古くは「万聖節」とも呼ばれました。「聖徒の日」の起源は、このカトリックの暦にあると思われます。

日本基督教団では、「聖徒の日」「永眠者記念礼拝」として、召された人たちの信仰を記念するために礼拝を行うようになりました。信仰を持つことのなかった家族や隣人についても、希望があれば、一緒に覚える教会が多いようです。私たちの教会でもそのようにしています。その意味では、「聖徒の日」というよりも、「永眠者記念礼拝」という表現の方が、より私たちの教会の有り様に近いと思います。

 「永眠者記念礼拝」には「礼拝」という言葉がついています。つまり特別な礼拝として執り行うのです。礼拝とは、神様の招きの詞(ことば)によって始まる神様への奉仕です。ちなみに英語では礼拝のことを「サービス」と呼びます。この奉仕は、神様の恵みに対する応答として行うものなのです。ですから礼拝の中心は神様です。永眠者(召天者)ではありません。永眠者の信仰を記念し、地上にある時も、天にある時も、神様に愛されていることを覚え、神様に感謝する礼拝なのです。私たちの教会では、永眠者記念礼拝に続いて墓前礼拝も行いますが、この墓前礼拝についても同じことが言えます。

 愛する者を失うという試練の中に置かれていても、それでもすべてを神様に委ねて、神様に信頼して、与えられた人生を感謝して歩みきることが、キリスト教の信仰です。喜びの時も、悲しみの時も、どんな時でも神様が中心です。だからこそ、神様から平安を与えられ、心安らかにして、キリスト者はこの地上を歩むことができるのです。  (中沢譲)