牧師室より

T.K姉が天に召されました。94歳のご生涯でした。

T姉は、1920年(大正9年)に、島根県でお生まれになり、同郷の経規氏とご結婚。二人の息子さんを与えられました。

 1970年のイースターに、淀橋教会にて、小原十三司牧師から受洗。この教会は、T姉が受洗された当時は、日本基督教団の“ホーリネスの群れ”に属する教会でした。戦前は治安維持法による迫害を経験しており、厳しい時代の中で信仰を守ってきた教会です。T姉は、そのような厳しい体験を持つ教会で信仰を育まれたのだと思います。その後、横浜に転居されたこともあり、1989年のイースターに、横浜港南台教会の会員になられました。

 T姉は、お花を愛でることも、育てることも、お好きだったようで、そのことを通しての教会員の皆さんとの交わりも深かったようです。また健脚な方で、山歩きを楽しまれたとのこと。円海山にもよく出かけられたそうです。あるとき、ご主人に山歩きを誘われて、めったにないことだと喜ばれ、教会の「入門講座」を休まれた、というエピソードもお聞きしました。

 そんなT姉が、お天気な日には「青い空を見上げると、イエス様のすそ衣が見える」と言われたそうです。おそらく、辛いこと、悲しいことを、たくさん心に抱えて歩まれていた方なのでしょう。青空を見上げる時に、主イエスが共におられることを思い、慰めを与えられていたのではと感じました。

 T姉は一度だけ、『若木』に寄稿されたことがあります。「日本は良くなるのか、悪くなるのか」というタイトルでした。そこには、汚職事件や薬害事件、子どもたちの自殺の問題などに心を痛める姉の姿がありました。「唯々祈るしかない毎日辛い日々となった今日此の頃です」と、思いを綴っておられました。

今は神様のみもとで、平安を与えられていることを信じます。

(中沢譲)