牧師室より

先週6日礼拝後、社会委員会主催の学習会が開催されました。「障がい児教育に携わって」という題名のもと、特別支援学級で小学生を担任する教諭として働かれている、平石武兄からお話をうかがいました。

 まず、「障がい児教育」という学習会のタイトルですが、正確には「特別支援教育」という言い方が、最近は使われているということを学びました。その心は、「障がい」は、一人ひとり異なっているので、必要としている支援も同じではなく、どのような支援が必要とされているかを見つけ出し、丁寧に気配りされた教育がなされることが大切、という認識のもとに使われるようになった用語であるということです。平石兄の、「一人ひとり必要としている教育が異なるということは、普通学級の子どもたちについても同じですが」という言葉にはっとさせられました。

平石兄が特に専門とされているのは、障がいの中でも自閉症です。そこで、自閉症の子どもたちは、どのような支援を必要としているのか、という点の理解を深めることを中心に学びました。日常的な教育の場で平石兄が行われている工夫を紹介する形で語られた、それぞれの子どもの障がいを理解し、その特性に応じた接し方をされるご様子は、とても興味深いものでした。

 視覚障がいは見ることの障がい、聴覚障がいは聴くことの障がいですが、自閉症はコミュニケーションに困難が生じる障がいであるということを知りました。例えば、何かの状況が言葉で説明されることの理解が難しい場合も、絵やシンボルのような視覚的な手段を用いれば、伝えることができたりするのです。ですから、イベントのプログラム(具体例は平石兄・朴姉の結婚披露宴)は、文字だけでなく横に絵が添えられていればわかりやすかったりするのです。こうした工夫は、文字表記が読めない外国の方や小さい文字の識別が難しくなった高齢者にとっても便利な表示方法ですね。説明に先立って、聴覚よりも視覚に特化した状態を体験するために、学習会の参加者は、平石兄指導のもと、簡単なゲームをしました。40人の参加者が、言葉を使わずに、誕生月別にグループを作ることができるか、というゲームです。全員が最初はうろうろしましたが、けっきょく手指のサインで生まれ月を見せ合って、なんとか月ごとの組に分かれることができました。

平石兄のお話は、ゆっくりと穏やかな口調で、きっといつも教室でなさっているように、視覚的な材料を豊富に用いて分かりやすく説明してくださいました。本当に楽しく示唆に富む学びの時でした。私たちの学びは、ほんの入門編で、もっと多様で奥深い自閉症の世界を知りたいと感じ、また現実に社会の無理解や支援不足によって様々な困難に直面している当事者や家族の方々のご苦労に対して、何ができるだろうかと考えさせられました。 (中沢麻貴)