牧師室より

[わたしは植え、アポロは水をそそいだ。しかし成長させて下さるのは、神である。だから、植える者も水をそそぐ者も、ともに取るに足りない。大事なのは、成長させて下さる神のみである](コリント人への第一の手紙367 口語訳)。

 このみ言葉は、神奈川教区の事業として、洋光台港南台地区で開拓伝道を行うことを決定した時に、教区会計の労を担われた飯田義信兄(蒔田教会)が、横浜港南台教会十年誌『拓けゆく町で』への寄稿文の冒頭に書かれた言葉です。

 このみ言葉だけで、開拓事業を担われた方々の労苦を知らされるように思います。以下、飯田兄の文章を追ってみます。教区は、「(開拓)推進委員会委員を8教会(大船教会、蒔田教会、横浜磯子教会、横浜本牧教会、本牧めぐみ教会、清水ヶ丘教会、紅葉坂教会、横浜上原教会)より選出する」ことを決めたとあります。設置された開拓推進委員会からの呼びかけに応じて、28の教会、推進委員会8教会の献金等(利息含)によって、31,667,983円が献げられたとあります。しかし予定された献金には12,319,502円足らず、不足した金額は、開拓推進委員会に関わった牧師や教会の働きによって支えられたとあります。その際「植える者も水をそそぐ者も、ともに取るに足りない」というみ言葉を強く感じたと書かれ、寄稿文を閉じておられます。

 横浜港南台教会の出発は、まずは諸教会の祈りがあり、この業に用いられた多くの方々の労苦があったけれども、最後の部分は神様によって支えられたと、飯田兄は信仰的に受け止められたのだと思います。

 本日、横浜港南台教会は創立34周年を迎えました。教区と近隣教会によって“植えられ”、秋吉隆雄牧師をはじめとする牧師や教会員たちによって“水をそそがれ”、大きな実りを与えられて今日に至りました。パウロが語るように、成長させてくださったのは神様であり、そのことを覚え、本日は感謝の礼拝をささげたいと思います。

 しかし、いつまでも忘れてはならないのは、この教会が“教区立”の教会であるという事実です。教区の諸教会が、私たちの教会のために祈り、支えてくださる中で、私たちの教会は誕生しました。それゆえに私たちは、教区・教団の中で生じる諸問題、また社会で起きる様々な課題に対して執り成すことに努め、福音の真理を明らかにする責を負っているのです。

(中沢譲)