牧師室より

今年の特別伝道集会は写真家でノンフィクション作家の桃井和馬氏をお迎えした19日(土)の講演は、ご自身が撮った世界各地のスライドを映して、興味深く話された。

自然は壮大で、神秘に満ちている。人間は、自然を受け入れ、文化、文明を育んできた。そこには、変えられないものと変えられるものがある。米国の神学者、ラインホルド・ニーバーは「神よ、変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ」と祈っている。変えられないものは謙虚に受け入れ、変えられるものは変えていく知恵が必要である。原発事故、沖縄基地の問題などを語りながら、対立を超えて、変えていく文明の構築を訴えられた。

礼拝説教では、緊張の高い生活をしている現在、礼拝という静寂の中で、心拍数を減らす時間が大切であると話し始めた。そして、奥様を亡くされ、身の半分を取られたような悲しみを率直に語られた。

平和を求めて尋ね歩いて来た。米国原住民から「帰りなさい。自分の周りから平和を創りなさい」と言われたことが、深く印象に残った。遠くで平和を訴えるのではなく、身近で平和を創ることが大切であると知らされた。また、自然は調和しており、互いに助け合いながら無駄のない協調の営みをしている。それを、人間が異変とも言うべき環境を作り出し、多くの種の絶滅をもたらしている。人間は決して強い存在ではなく、弱い者である。しかし、共に歩む神がおられるので、強くなり得る。その強さは、パウロの「平和に暮らしなさい」という言葉によって達成される。平和は人と人の間だけではなく、動植物を含めた共存であろう。

桃井氏の長いスパンで見る文明論に大きな希望と勇気をいただいた。