牧師室より

ヨーロッパに行くと、壮大な教会堂が至る所に建っている。ところが、その教会は博物館や美術館などになっているケースが見られる。新聞報道によると、高い天井を利用してサーカス小屋になり、また、イスラム教のモスクになっているという。礼拝に来る人が少なくなって、変貌しているようである。ヨーロッパのキリスト教が世界の文化、文明を牽引してきた。その力は絶大であった。しかし今、教会が凋落傾向にあることは否めない。

カトリック教会の教皇は終身制であるが、先のベネディク16世は自ら退位して、世界を驚かせた。後任を選ぶコンクラーベはもめると思っていたが、あっさりと、フランシスコが選出された。彼はアルゼンチン出身である。彼を選出せざるを得ないということであろう。キリスト教界は地殻変動が起こっている。

カトリック教会の教皇を頂点としたヒエラルキーやきらびやかな儀式は、埃にまみれた衣とサンダルで伝道したイエスの姿とは似ても似つかないが11億人のカトリック信者の頂点に立つ教皇の影響は、プロテスタント教会に比べて大きい。

フランシスコは最初に訪れたブラジルで熱狂的な歓迎を受けた。アルゼンチンもブラジルもヨーロッパの白人から、押しつけられる形で、キリスト教を伝道された。その彼らがキリスト教を担うという逆転現象が起こっている。それは、聖書が告げている、貧しく、苦しむ者と共にあった主イエスに倣おうとする信仰の原点への回帰に見える。私は教会史の大きなうねりを感じる。