牧師室より

岩崎航・著 齋藤陽道・写真『点滴ポール 生き抜くという旗印』(ナナロク社)を感動をもって読んだ。

岩崎氏は、3歳で筋ジストロフィーを発症し、現在37歳である。胃ろうからの経管栄養と人口呼吸器を使用し、生活の全てに介助が必要な体である。病苦に耐え、自殺願望を超えて、生きることに向かって、5行詩を書き続けている。その言葉は、美しく、強く、読む者に「あなたは自分の生をどのように生きていますか」と問いかけている。

「人間の心弱さを  見つめ抜いたその上での  強さ 厳しさ 豊かさ 優しさ」

「思い切り  涙を 流して  全部 洗い流して  それからが 正念場」

「誰もがある  いのちの奥底の熾火(おきび)は吹き消せない 消えたと思うのは  こころの 錯覚」

「楽観主義とは  現実の忌避ではない  意思と勇気の 芯の強さだ」

「点滴ポールに  経管食 生き抜くと  いう  旗印」

「障がい者は戦争のない平和な中でのみ  生きていける だからこそ平和を担う世界市民となれるはず」

「くるしみの涙が  感謝の涙に 再起の力に  かわっていった あなたが いるから」

「落ちゆく涙  生きると  決めた  その瞬間(とき)を 盾に 砦に」

「何にも言わずに  さすってくれた  祈りを込めて  さすってくれた  決して 忘れない」

「生きようと  向かえる気持ちは 芽吹きのよう  炎に焼かれた 幹の心は生きている」

 一読を、強くお勧めしたい。