牧師室より

牧師にはプライバシーがない。いつも、自分の立ち位置を明らかにしておかなければならない。

6年前、胃カメラで検診をしたところ、食道に癌があると言われた。癌の宣告を受けた人は召される番が自分に来たと思うだろう。私もそう思った。1週間の検査を受け、内視鏡で取れるだろうと判断され、内視鏡手術を受けた。全身麻酔で56時間の手術であった。一度癌になると、毎年検診を受けるようになる。完治したという報告を受けてきた。早期発見と医者の治療技術が良かったためであった。

ところが、今年の6月の検診で、胃に癌があると言われた。今回も早期発見で、内視鏡で取ることになった。2時間半くらいかかった。全身麻酔ではなく、眠らせた状態での手術であった。途中で目覚め、身の置き所がなく、体を動かした。医者から「動かないで」としばしば言われた。私は、指で「眠らせて」と書いて、眠らせてもらった。術後、切り取った56センチの肉片を見せてもらった。先週、組織検査の結果を聞いた。癌は浅く、全てを摘出できたとの報告をいただいた。皆さんのお祈りのお陰であると、心から感謝している。

食道癌の手術は、若い女医先生であった。私は召される時まで、女医先生のお世話になるものと思っていた。今回の手術は、女医先生の夫がしてくださった。夫先生は胃癌の専門医で、バトンタッチされた訳である。夫先生も、女医先生からの詳しい連絡を受けていて、本当に親切で、優しくしてくださった。

我が家で、私は大事にされているが、病院では、患者を本当に大切に扱ってくれる。些細なことでも、手を伸ばして助けてくれる。また、看護師たちは謝る必要のない時に、謝ったりして、言い過ぎではないかと思うこともある。

私は、今まであまり病気をしたことがなく、保険料の支払いばかりだと思っていたが、ここ数年、結構、保険料を有効に使っている。年を取ると、病院と親しくなってくる。