牧師室より

教会創33周年記念礼拝に、S.E兄をお迎えした。S兄は、私たちの教会に1998年から2005年まで在籍し、熱心に奉仕してくださった。説教は、パウロが書いたコリントの信徒への手紙 一 3 4節〜9節から「成長させて下さるは神のみ」と題して話された。

パウロが伝道して建てたコリント教会は、町の荒廃が教会に持ち込まれ、様々な問題を抱えていた。パウロは、それらに対し、丁寧に答え、諭している。パウロにつくという人とアポロにつくという人がいて、教会に分裂が起こった。パウロは、二人は信仰に導くための奉仕者に過ぎない、「大切なのは、植える者でも水を注ぐ者でもなく、成長させてくださる神です」と教えている。

S兄が通っている教会は、牧師が代わり、四代目の牧師招聘問題に直面している。この時、「成長させて下さるは神のみ」という御言葉は大きな希望になっている。そして、教会はキリストを土台とし、神による成長に与っているという信仰が大切であると語られた。

午後は、「行き先を知らずして歩んだ40年−靖国問題が私たちにもたらしたもの−」と題して話された。S兄は、クリスチャンホームで育ち、子供の頃から教会に通っていた。ある時、教会の一室で、戦争中の『教師の友』の説教例を見た。「忠君愛国」という説教題で、戦争に勝たねばならないと力説しており、教会は戦争を煽っていたのかと驚いた。

青年期に「靖国問題」と出会い、以来40年、行き先を知らずに関わってきた。そのために、多くの時間を費やしたが、多くのことを知らされ、学んできた。靖国問題は「信教の自由」の問題であるが、自分にとっての自由だけでなく、他者の自由を保障する広がりを持つ。戦時下で戦争政策に加担した事実を罪責をもって捉え、戦争責任を内実化する。被害を受けた人々への責任を負うことを包み込む普遍的な闘いである。最後に、安倍晋三首相のアジア・太平洋戦争の負の歴史を消そうとしている姿勢に警鐘を鳴らして、語り終えた。