牧師室より

安倍内閣の政治姿勢に大きな危惧を抱いている。政府は、サンフランシスコ講和条約が発効した1952428日を記念し、「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」を行った。沖縄では、この日に本土から分離され、米国統治下に置かれた「屈辱の日」として大きな抗議集会が持たれた。沖縄県民を怒らせるような「式典」を行う無神経さに驚く。また、米国に従属、依存しきっている日本は主権を行使している国と言えるのであろうか。物々しい警備の中で行われた「式典」は、国民が納得していない証拠ではないか。

閣僚や国会議員たちの靖国神社参拝に中国と韓国は、戦前への軍国主義への回帰と見、激しく抗議している。安倍首相は「脅しに屈しない」と言っている。靖国は天皇のために戦死した人を「英霊」として祀るために政治的に作られた神社である。そして、アジア・太平洋戦争では、戦死者を美化する強力なイデオロギー装置として作用した。戦死者への尊崇なら、他の方法でいくらでも、表し得る。一番の方法は戦争を決してしないと表明し、実行することである。歴史を直視し、東北アジアの安定を図ることが急務である。

ジュネーブで持たれた核不拡散条約の準備委員会は、核兵器が使用された場合の悲惨に深い懸念を示し、二度と使用しないことを保証する唯一の手段は完全な廃絶であるという共同声明を出した。70国が賛同したが、日本は、米国の核の傘にあるので、核兵器の使用に反対できないと署名しなかった。広島、長崎の被爆者は激怒している。核廃絶は日本の使命ではないか。

安倍政権は、憲9条を変えて、戦争のできる状態を作ろうと必死である。自民党の改憲案が出されているが、国を縛る憲法が、国民を縛る憲法に逆転している。立憲国家の法とは言えない。参議院選挙で自民党が勝利でもしたら、人権が著しく制限される住み難い国になる。