牧師室より

旧約学者の木田献一先生が82年の生涯を終え、天に帰られた。前夜式に参列した。先生の人柄と業績を偲ぶ、感銘深い式であった。

先生は、私たちの教会の一泊研修会で、説教と講演をしてくださった。また、「小井沼宣教師夫妻と共に歩む会」の会長を引き受け、「ブラジル宣教報告会」をした時は、忙しい中、必ずお見えになり、励ましの挨拶をしてくださった。

私は、講義を聴いて魅せられ、著作を読んで、多くを学んできた。ご逝去は本当に悲しく、残念である。

前夜式は、百人町教会の賈 晶淳牧師がエレミヤ書20章から「預言者の後ろ姿」と題して「葬送の辞」を述べられた。エレミヤは、主の言葉のゆえに、終日恥とそしりを受けた。もう主の名を口にすまい、語るまいと思う。しかし、主の言葉は火のように燃え上がる。エレミヤは「わたしの負けです」と告白している。賈牧師は、木田先生は「神に負け続けた」生涯であった。そして、神に負けるとは、この世に責任を負うことであると語られた。責任を負った生涯が感話などから多様に紹介され、先生の存在の大きさを思った。

遺族を代表して、奥様が挨拶された。お二人の出会いから、愛と理解に満ちた家庭生活、そして、痛みはなかったが、寝たきりの最期の病床まで、率直に話された。召される4日前、二人の子供さんが、奥様が式文を読み、先生の手で洗礼を受けられた。喜びに満ちた「病床授洗」であったという。