牧師室より

小沢昭一氏の『川柳うきよ大学』『川柳うきよ鏡』に笑いこけた。諧謔な批判精神に富む川柳そのものが面白いが、小沢氏の短い闊達な解説が更に楽しいものにしている。

川柳のテーマは些細な私事から世界の重大事件にまで及ぶ。川柳を詠む人は平和主義者が多いのではないか。平和に関する二句を紹介したい。

「亡き戦友これでいいかい六十年(足利市 小島正吉)」「戦60、あの戦争で散った戦友に、生きながらえる身としては、申し訳ないよなァ。亡き戦友よ。あんた方のお陰で、今日の日本の社会があるんだけど、今のこんな世の中 これでいいのかねえ。よかァねえだろう?ごめんなさいねェ。」「備えあればこそ戦争の憂いあり(河内長野市 北阪英一)」「備えあれば憂いなしで、軍備拡充かね。自衛 自衛で、もう立派な軍隊だ。自衛って言ったって他国はそうは思ってないよ。それよりさ、備えなしの丸腰でオトナシクしてりゃいいの。備えを固めていると、かえって戦争の憂いがあるんじゃない?」

アルジェリアの人質殺傷事件、中国軍艦からのレーダー照射問題、北朝鮮のミサイル発射、核実験などを契機にして、権力側は自衛隊を動かし、憲法を変えようという議論と風潮を起こそうとしている。私の川柳を一句、「もういいかい派兵改憲ダーメだよ」。