牧師室より

イスラエルとパレスチナの停戦が成立したという。今回のガザ地区へのミサイル攻撃で160人以上の命が奪われた。戦闘とは関わりのない子供、女性の死者が多いと報道されている。ガザから発射されたロケット弾はエルサレムやテルアビムまで届き、イスラエルにも死者が出た。火力の差は歴然として、被害は比べ物にならない。

今の世界の中で、パレスチナ人の置かれた状況が最も「理不尽」ではないかと思っている。1948年、国際政治の力学の中で、イスラエルは建国を認められた。以来、パレスチナ人は土地を追われて難民になり、ある者たちは頑強にパレスチナに留まっている。しかし、イスラエルからの圧力は強力で、高い壁で分断され、物資の流入も困難で、生活は脅かされ続けている。

イスラエル人は聖書を残してくれた民族である。人類史に果たした貢献は計り知れない。聖書には、三千数百年前、神はアブラハムに「あなたの子孫にこの土地(カナン)を与える」と言われた。ユダヤ教原理主義者たちは、この神の言葉を根拠にして、パレスチナはイスラエル人のものであると主張している。しかし、これを正当と見なしている人はいないだろう。ユダヤ人迫害を逃れて米国に渡ったユダヤ人たちは、政治、経済、報道において、強力な力を形成した。米国政府は、このユダヤ人ロビーを無視できない。国連をはじめ、世界の国々はイスラエルの蛮行を非難しているが、米国に支持され、パレスチナ人の復権が図れない状態にあるのではないか。

先日の新聞に、沖縄県糸満市の本山朝滋氏が「大空に米軍機、地上には事件」というタイトルで投書されていた。「沖縄の大空には昼夜関係なく米新型輸送機オスプレイが飛んでいます。― 米兵による卑劣な集団強姦致傷事件に続き、住居侵入・傷害事件が起きました。― 日本は米国の属国であり、沖縄県は植民地なのかと、つくづく情けないです。― この国が平和だと誰が決めたのか。偽りの平和ではないでしょうか」。

沖縄県民が受けた歴史的差別の上に、更なる生存、人権蹂躙の「理不尽」が続いている。パレスチナ人と沖縄県民の苦悩が重なって見え、持って行き場のない怒りがつのる。