◇牧師室より◇
パウロが目指したヨーロッパ伝道の最初はフィリピであった。紫布を商うリディアと看守の一家がクリスチャンになり、彼らがフィリピ教会の礎になった。そのフィリピ教会はパウロの伝道に何度も贈物を送って支援する頼もしい教会に成長した。
パウロがエフェソで投獄された時、フィリピ教会はエパフロディトに贈物を持たせ、獄中のパウロの世話をさせるために遣わした。ところが、エパフロディトは重病になった。パウロは、務めを果たせなかったと咎められることを案じて、彼にフィリピ書を持たせて、送り返した。「彼のような人々を敬いなさい。わたしに奉仕することであなたがたのできない分を果たそうと、彼はキリストの業に命をかけ、死ぬほどの目に遭ったのです」と、エパフロディトを執り成している。
パウロとフィリピ教会の間には伝道の喜びと苦しみを分かち合う交流が息づいていた。パウロのエパフロディトに対する配慮には牧会者の深い心遣いがある。フィリピ書は、「主において常に喜びなさい」と繰り返し語られ、投獄という苦難の中で溢れる喜びを著した麗しい書である。