牧師室よ

クリスマスおめでとうございます。クリスマスはキリスト(救い主)とマス(祭り)の合成語でキリスト礼拝という意味です。キリスト礼拝は私たちが毎週、捧げていることですが、通常クリスマスはイエス・キリストのご降誕を指しています。

イエスの誕生に関して、マリアから生まれたということは確かなことですが、いつ、どこで、どのように生まれたかは全く分かっていません。

紀元55年頃、パウロはガラテヤ書で「しかし、時が満ちると、神は、その御子を女から、しかも律法の下に生まれた者としてお遣わしになりました」と書いています。イエスの誕生は「女から生まれた」としか書いていません。

80年代に入って、マタイ福音書とルカ福音書は、壮大なご降誕物語を生み出しました。これはもちろん、歴史的事実ではありません。私は、初めて読んだ時、当然、神話として読みました。ところが、教会に行って見ると、歴史的事実として読む人がいるのを知り、驚きました。後になって、教会は聖書を間違いのない「神の言葉」と教え、それをそのまま、受け入れているのだと知らされました。

教会やキリスト教と関係のない人が読め100%、神話的表現として受け止めます。それが、聖書記者たちの意図に沿うことです。そして私は、何より、キリストの福音を伝道したいと願っています。その時、初めて聖書を読む人と同じ地点に立たないと対話が成り立ちません。対話を成り立たせる基盤は、聖書を書いた著者たちの立ち位置と思いを共有することから始まります。

マタイ、ルカ福音書の著者たちは旧約聖書、当時の出来事、言い伝えなど、多くの資料を駆使して、イエス・キリストに対する篤い信仰をもって、降誕物語を美しく、壮大なスケールで描き出しました。これを読むと、イエス・キリストの生涯の意味、そして、福音が何であるかが分かる。そのようなメッセージを込めて書いています。私たちは、著者たちのメッセージを受け止め、信仰を導かれていくのです。