◇牧師室より◇

ギリシャとイタリアの経済的破綻が世界の関心の的になっている。ギリシャ、特にイタリアの破綻はヨーロッパに大きな損失を与え、世界経済にマイナス要因になる。世界は文字通り、グローバル化のただ中にある。ギリシャ、イタリアは古代世界においては、文化、経済、政治の主導的立場にあった。栄華を誇った彼らは現在の祖国をどのように見ているであろうか。

 ヨーロッパ連合(EU)が誕生した時、世界平和への第一歩だと思った。ヨーロッパは戦争に明け暮れていた。EUは戦争をしない、できない共同体を作ることであった。ヨーロッパに隣接する国々はEUに加盟したいと必死である。貨幣もユーロに統一し、旅行者は行く先々の国で両替しなくてすみ、便利になった。経済的にも当初は、米国を凌ぐ力を持つであろうとも言われていた。ところが、経済的な弱小国がユーロの価値を低めてしまった。政治家の不誠実と企業家たちの強欲が原因であろう。国民の怒りは理解できる。

米国では“ We are the 99%”というプラカードを持って、1%の金持ちに収奪されている貧富の格差に抗議するデモ隊が、ウォール街を占拠し、国中に広がっている。米国はイラク、アフガニスタン攻撃によって、膨大な戦費がかさみ、経済的に行き詰ってきた。それでいて、混乱に追い込んだイラクで、ある企業は膨大な利益を上げているという。

英国のセントポール大聖堂の周りに、貧しい人々がテントを張って居座り、観光客は激減している。貧しい者の味方である教会は、彼らを追い払えず、司祭たちの辞任が続いていると報道されている。

ユーロとドルの低落によって実力とは関係なく「円高」になり、日本の経済も先行きが見えない。年収200万円以下の人が2,000万人もいると聞く。その人々は将来の生活設計ができない。ギャンブルに100億円以上をつぎ込んだ「バカ殿」がいる。自然災害が多いが、人間の欲望がもたらしたものもある。政治や経済は人間の営みである。正義に基づき公平を行うことは可能ではないか。