◇牧師室より◇

今年の特別伝道集会は金 纓牧師をお迎えした。金牧師は、私と同郷の澤正彦牧師と結婚し来日された。澤牧師は、韓国の民主化闘争時代に韓国に行き、大学や教会で働かれ、『ソウルからの手紙』を著された。日韓の和解の務めを使命として、良い働きをしていたが、国外追放を受けて帰国、東京で牧会し、49歳で亡くなられた。金牧師は日本の神学校に行き、牧師になり、教会に仕え、大学で教え、多くの本を著された。韓国女性らしい情熱を持って、真っ直ぐにご自分を表してこられた。

29日(土)の講演会は「最も大切なもの」と題して話された。最も大切なものは何かと問われたら、色々な答えが出るだろう。日本では圧倒的に「お金」と答える人が多いが、本当にそうだろうかという問いかけから話し始めた。主イエスは「自分の命のことで何を食べようか何を飲もうかと、また自分の体のことで何を着ようかと思い悩むな。」「何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらものはみな加えて与えられる」と語られた。神の国とは差別や戦争がなく「共にある」ことで、神の義とは真実と平和である。主イエスは、経済が最優先ではなく「何よりもまず」神の国と神の義を求めよと言われる。神は、独り子イエスを十字架にかけて、私たちの罪(弱さ)を赦してくださるまで、愛してくださっている。この神を信じればあるがままの私を喜びながら、自由に生きることができると、ご自分の生活体験を通して、ユーモアたっぷりに語られた。日本人は何によって生きるかという「軸」がない。愛の神へのひたすらな信頼が大切であると力説された。

30日(日)の礼拝説教は「旅人として」と題して語られた。金牧師は、お子さん方が自立した後、旅をする決心をし、リュックを背負って130ヶ国を回ったという。旅は頼るところがない場合が多い。神に祈り、頼ることを学んだ。また、荷物を背負って歩くが、どうしても背負わなければならない、その荷物は軽い方が良い。荷物を降ろして解放される時もある。人生も旅に譬えられる。一回限りの人生だから、今を精一杯生きる。背負う荷物(苦労)は余分なものは捨て、軽くする。主イエスは十字架によって、私たちの荷物を軽くし、共に負ってくださっている。そして、クリスチャンの最大の喜びはヘブライ書が告げる「天の故郷」を信じていることである。旅の終着点がはっきりしているから、この世に執着しないで、身軽に、安心して生きることができると結ばれた。