◇牧師室より◇

今年の「平和聖日」は「高麗博物館」の理事をしておられる東海林勤牧師をお迎えした。

説教は、福島原発事故に見舞われ、「お前は何をしてきたのか」という問いの前に立たされたということから話し始められた。そして、お孫さんを放射能から遠ざけるために避難させたが、その行動から、今までは他人事としてしか認識してこなかったことを知らされ、恥じた。しかし、誰もがそうですよと言われ、赦されたような思いになった。この経験から、神の赦しを知り、新たに生きようという励ましを受けた。

神は祝福をもって世界を創造された。その神の祝福に人間は逆らうけれども、神の愛は変わることはない。主イエスは、命を与え、命を支える愛の神を示された。空の鳥を養い、野の花を装ってくださる神は全ての人を祝福と愛の中においてくださっている。この信仰が、自分自身と隣人の尊厳を回復していく。先生の恥ずかしい体験から、赦しによる立ち直りを受けた喜びを誠実に話された。

午後の平和講演は原発事故に関する話に終始した。原発は巨大なエネルギーを生み出し、経済成長を煽る。その裏側では原発に関わる仕事をしている人々は正規な権利が保障されず、人を物化している構造がある。人間が否定、破壊されていく時、内側の心も著しく荒廃していく。そこには平和と正義は保たれない。自分らしく、安全で、当たり前の生活ができる状況こそが「神の国と神の義」が実現している世界である。

キリスト者たちが犠牲者を見捨てない懸命な活動をしている諸事実を紹介された。そして、神の是認の下にあるから、それに相応しく、人間の尊厳を生み出していく、主体的、責任的な生き方をするように強調された。