牧師室よ

 YT兄は腰を痛め、長時間は歩けず、同じ姿勢を保てない状態で、礼拝に出席することができない。キリスト教主義学校の教師をしておられた。先日、教師時代に生徒たちに話した礼拝説教を送ってくださった。B5版で2〜3頁くらいの短い説教17篇であった。明快で誠実な説教に引き込まれて一気に読んだ。不思議な出会いと関係を知らされたので、紹介したい。

Yは関東学院中学校に進んだ。珍しかった外国人教師の授業に興味津々であった。米国人のコベル先生に可愛がられ、ケネスと呼ばれ、問いに答えると「ベリーグッド、ケネス」と褒められた。

 コベル先生は戦争反対の主張をしたため国外追放になり、ご夫妻で宣教師としてフィリピンに行かれた。そして、この地でスパイと疑われ、日本兵によって処刑された。コベル先生を収容した隊の兵士たちは、先生の信仰と人柄に触れて大きな感化を受け、刑の執行ができず、やむなく関係のない他の隊から兵士を呼び寄せて執行した。執行前、神に祈る時を求め、日本兵のために祈り、ご夫妻は顔を見合わせて頷き、斬首されて逝ったという。

 コベル先生の長女・マーガレット・コベルさんは、日系人を収容していたコロラド州の収容所で日系人のために献身的に尽くされた。両親が日本人に殺されたにもかかわらず、「敵を赦し、愛する」彼女の信仰を知った淵田満雄氏が感激してクリスチャンになった。淵田氏は真珠湾攻撃で、有名な「トラ、トラ、トラ(我、奇襲に成功せり)」と打電した海軍大佐である。淵田氏は改宗後、牧師になり「主イエスの十字架の赦し」の福音を語り続けた。

 Yは、殉教したコベル先生から可愛がられた幸いな方である。そして、淵田氏の甥が私の神学校の同級生・淵田勝牧師である。淵田勝牧師は5年前、喉頭癌で亡くなった。