牧師室よ

 天木直人氏の「さらば 日米同盟」は米国に追従してはならないと強く訴えている。天木氏はレバノン特命全権大使をしていた時、米国のイラク攻撃に対して即座に、無条件の支持を表明した小泉元首相に中東政策に公平、公正さを求める「意見具申」を出した。そのため外務省を解雇処分された。その2年後「私は小泉首相と売国官僚を許さない さらば外務省 !」を出した。今回は、鳩山前首相の退陣後、日米同盟から離脱せよとの主張を著わしている。

 鳩山前首相は、日米の対等な関係の構築を望んでいたのであろう、普天間基地の移転先は国外(米国)が望ましい、少なくとも県外と言っていた。しかし、外務官僚に説得されたのか、沖縄県民の苦悩を無視して、辺野古への移転を米国と約束した。日米同盟は不変であることを公に表して辞任した。

天木氏は、培ってきた外務省勤務の経験から、日米同盟の不平等な関係、ひたすら屈従する日本の姿勢を様々な事例から報告している。そして、米国は建国以来今日まで、戦争国家である。現在の日米安保条約は決して米国が日本を守る形ではない。

世界は不戦時代に入った。日本は戦争をしてはいけない国、またできない国になっている。国と国との戦争はお互いの不利益をもたらすだけで、何のメリットも生み出さない。世界の現実に憤りを抑えられない人々がテロに走る。このテロからの防御のため、戦力が格段に違う非対称な戦争を起こしている。その戦争の深い原因はパレスチナを蹂躙しているイスラエルを支持する米国の中東政策にあると、レバノン駐在の経験から指摘している。

米国は予算を縮小するため、海外駐留部隊を大幅に削減しているが、日本だけが削減の対象になっていない。7割もの「おもいやり予算」を受け取ることができる日本から出たくないからである。現在の独善的な米国への追従は、心ある人々は誰もが、世界の孤児になっていくと危惧していよう。

天木氏は日米同盟関係から離脱し、対等な「自主、自立」した健全な日米友好関係を求めている。そのために @ 憲法9条の平和外交 A 専守防衛の自衛隊 B 東アジアの集団的安全保障体制の確立という三つの具体的な提案を挙げている。