牧師室より

200853日の憲法記念日に「百のうた 千の想い 甦る平和百人一首 英訳付」が上梓されている。1948年(昭和23年)の新憲法制定を記念して、読売新聞は「平和百人一首」を募集した。戦後の混乱の中で、2万数千人からの応募があったそうで、その中から百人のうたが選ばれた。この歌集は歴史の底に埋もれていたが、大竹桂子氏の努力で、発掘された。一つひとつのうたにふさわしい絵を、旧満州から引き揚げ、平和に強い関心を持つ画家・稲田善樹氏が描き添えた。大竹氏は、うたと絵がマッチした一冊の美しい本に編集し、60年後に見事に甦らせた。

直接、憲法を歌ったうたもある。「幾千万いのちやすらぎおほらかに新憲法は史をかぎるなり 千葉 角田博子」。もちろん、平和を歌ったうたもある。「地の上に永遠の平和を祈るかな戦に病みし命生きつつ 千葉 林房雄」。「平和の鐘響かふ聞けば心澄みわが生ける幸今日も湧き来る 東京 橘 馨」。

長く苦しい戦争からようやく開放された。ささやかな喜びに浸り、故郷の自然の美しさや働くことの楽しさ、そして、家族が共にいることの嬉しさを率直に歌っている。

「こがねなす瑞穂よろこぶ村々はゆたけき今日を秋祭りする 神奈川 飯島孜」。「やすき世に生きて働くよろこびにみちみち足りて思うことなし 大阪 中山勝代」。

「兵となる事しあらねばすこやけく吾子育てつつ安けし母は 神奈川 黒澤緑」。「還り来し父に抱かれ眠る子のやすけき見れば思うことなし 兵庫 井上弥生」。

「港南台9条の会」と「洋光台9条の会」は共催で創立4周年記念集会を明日22日(月)午後1時半から私たちの教会で催す。「平和の百人一首」を編集した井上氏と絵を描いた稲田氏が講演に来てくださる。平和は庶民のささやかな思いの上に作られていくのではないか。庶民の声を代弁されるであろう、お二人の講演を聞きにお出かけください。