牧師室より

「天声人語」に、全国老人福祉協議会の第6回「60歳からの主張」川柳部門の入選作が紹介されていた。同年代の主張に親しみを覚え面白かったので、私なりの解釈をしたい。

〈置き場所を思い出せない備忘録〉。毎週の週報作りに努力しているが、毎回、二人の方からミスを指摘されている。物忘れを含め、注意散漫になる齢になってきたことを自覚する。

〈物忘れ嘆くな頭のダイエット〉。天声人語の筆者は、この句に「万事、前向きに考えたい」とコメントしているが、頭のダイエットは脳がスカスカになることではないか。これにはもう少し抵抗していきたい。〈遼君のスイング真似て腰痛め〉。私の腰痛も、良くなったり悪くなったりで、結構長く付き合っている。〈角が取れ丸くなるのは背中だけ〉。年を重ねると丸くなるのであろうか。私は怒りが多くなっていくような感じがする。気が短くなってきたのであろうか。

〈掛けてきた年金実は賭けていた〉、〈敗戦国興して老後報われず〉の二句は懸命に働いてきた老後の寂しさが切ない。〈日本発武士道にない派遣切り〉。とにかく若者に働く場を提供してほしい。意欲的に働くことによって人は心の健康を保ち、希望を持つことができる。

〈老妻とダジャレの応酬日々楽し〉。仲のよい夫婦である。〈新婚と思って老々介護する〉。このような日もそう遠くはない。最優秀賞は〈喜寿祝い寿司に集まり我孤独〉だそうである。高齢者が住み難い世の中になっていることは残念ながら確かであろう。