牧師室より

「週刊 金曜日」にジャーナリストの大藤理子氏が「政治時評」を連載している。「『この人のために何かしてあげたい』と思わせるのも立派なリーダーシップでは?」というタイトルで三人の首相経験者の年頭所感を比較、紹介している。

まず、鳩山由紀夫首相の年頭所感。

「新年あけましておめでとうございます。寒さ厳しい中、みなさん、風邪など召されていませんでしょうか?受験生の皆さん、体調に気をつけて、ベストを出せるように努力してください。おじいさん、おばあさん、お正月にはお孫さんの顔を見られますか?もう電話で声をきかれましたか?お正月も休みなく働かれている方々、一人暮らしの皆さん、それぞれの環境の中で、穏やかな新年をおむかえでしょうか―。」鳩山首相は受験生から一人暮らしの人までを気遣いながら、普通の言葉で挨拶している。

 麻生太郎前首相の年頭所感。「新年あけましておめでとうございます。今年は、平成二十一年。今上陛下、御即位二十年であります。国民とともに、心からお祝い申し上げたいと存じます。この二十年間、日本は、平和と繁栄を続けてまいりました。バブル崩壊、金融危機など、いくつかの困難にも見舞われましたが、国民の力によって見事に乗り越えてきました。」麻生前首相は、まず天皇の即位から始まり、派遣村の存在を知らないかのように、見事に乗り切っていると豪語している。

 安倍晋三元首相の年頭所感。「新年あけましておめでとうございます。昨年九月、戦後生まれ初の内閣総理大臣として就任し、活力とチャンスと優しさに満ちあふれ、自律の精神を大事にする、世界に開かれた『美しい国、日本』の実現のため、未来は開かれているとの信念の下、たじろぐことなく、改革の炎を燃やし続けて参りました。」安倍元首相の関心は自分のことだけで、よくもこれまで自画自賛できるものかと驚いてしまう。

鳩山首相の指導力のなさが取りざたされているが、「文は人なり」と言われるように、力みのない所感は好感が持てる。それを、大藤氏は「この人のために何かをしてあげたいと思わせるのもリーダーシップのあり方だし、むしろ求められるのはこれではないか」と息子の成長を見守る母親のようなコメントをしているが。